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Nexalコラム

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なぜ不満足体験ばかりクチコミされるのか

「ネガティブな体験は共有されやすいのに、ポジティブな体験は共有されにくい。」
その様に感じているマーケ担当者も少なくないのではないでしょうか。

今回はその事について考察をしたいと思います。

 

拡散される不満足

タイトルでは「なぜ不満足体験ばかりクチコミされるのか」とありますが、ただの不満足体験の愚痴だけでは多くの人からの共感や共有はされないと考えます。なぜなら、そこに「なぜ不満に思ったのか」という共感に繋がる『共通体験エピソード』が無いからです。そのため、共有が拡散されるための前提として『共感:がなければ成り立たないことの方が多いと考えられます。

そもそも、不満足体験が発信されるのにも様々な要素が蓄積され、初めて不満足共有という行為へと結びつくのであって、何か一つの事が不満の場合、多くは些細な事と片づけられるのではないでしょうか。
但し、ちょっとした不満の積み重ねや些細な事でも、クチコミされ易い要素として考慮しなければならないのが『その不満足の対象の認知度の高さとその認知内容』です。

普段耳触りのよいキャッチコピーと顧客満足を巨額な広告費を投じて謳っているブランドほど、ちょっとした不満でもその活動とのギャップを認識しやすく、その結果『事前情報と現実のギャップ』が一つの不満足ストーリーとして発信しやすくなり、その発信に共感や共有がされやすいという性質を持つと考えられます。

生活者の期待値が事前段階において明瞭に存在し、その期待値をベンチマークの一つとして『満足or普通or不満足』の結論が存在します。(結果としては期待した内容ではなかったが、案外満足という事も勿論あるわけですが)

更に、ブランドの認知率が高く製品利用確率も高ければ、製品を使用して不満足体験をする確率が1%だったとしても、母数が大きければそれだけ多くの人が不満足を体験する事になり、そして、認知した多くの人からも期待値とのギャップを認識する事になります。(ここで共有されるかされないかは、商品の注目度にもよりますが。)

そうして多くの共感を得やすくなった不満足体験は多くの人に共有され、それを呼び水に「まさかあのブランドがそんなだったとは・・・これは広めなければ」と消費者立場による正義感からの共有も発生してしまうのです。

 

なぜか拡散されない満足

上述の内容までは多くの人が利用可能な物質(有形物商品)を提供するブランドをイメージした記述ですが、提供している商品が物質ではなく無形なサービスである場合、物質の場合と比べて共感できる人数に限りがあります。

物質を提供している場合はスペックなど、表に出せる比較対象をベンチマークに評価する事が可能であり、購入の事前であれば期待値、事後であれば使用感などがクチコミされるが商品が多くの人にとって話題であるか、使う可能性のあるジャンルなのかによって共有の規模は異なります。

一方、無形サービスの場合、店舗などの空間提供(食事、接客、演出など)に対する評価であるため、利用者のシチュエーション、時間帯、味の好み、金額感などの要素によって満足が形成されます。そのため、非常に属人的であり、再現性が低く、利用者も限定されているため、共有されても共感をする為の評価基準が異なるケースが多いのです。よほど感動的なエピソードや良い意味で常識外の接客や演出が無い限り、共有はされても共感される事が難しいでしょう。

しかし、それでも不満足は拡散される。それはなぜでしょうか。

 

共感される不満足体験の共通性

無形サービスの多くの場合が『言葉使い』『立ち居振る舞い』『クレームへのミス対応』『提供時間の遅さ』『入店待ち客へのフォロー姿勢』などが共感される不満足体験ではないでしょうか。

『言葉使い』『立ち居振る舞い』に対して不満足体験をした人は、店舗接客として求められる態度としてある程度の標準値を感覚的に持っています。それはチェーン店という形式が一般的になり、どこでも良いサービスが受けれるようになった事が背景にあると考えられます。

『提供時間の遅さ』『入店待ち客へのフォロー姿勢』については、多くの人にとって共通性のあるシチュエーションが前提となっています。例えば「大手ハンバーガーチェーンでハンバーガーを注文し、番号札を渡されてから15分も待っているけどまだ来ない。」というPostがtwitterにあったとして、それを目にした多くの人が「遅い」と感じるでしょう。*1
その様に、同じブランドや業態の店舗への来店経験がある客は共通体験として「自分事化」しやすい環境にあると言えます。*1

そういった背景に『クレームへの対応ミス』が加えられ、共感から拡散へと繋がって行き、やがてはブランドにとって無視できないネガティブ体験の拡散規模になり得ます。

しかし、このネガティブ体験は大きなチャンスと考える事もできます。なぜなら、共感しやすい『ネガティブストーリー』で『自分事化』されたこのクレームに対し満足いく対応ができた場合、既に共感しやすいストーリーが背景に存在しているため、良い体験としても広く共感・共有される、とも考えられるからです。

*1勿論、ハンバーガーショップでも作り置きをせず、種を成型する事から始める店舗もあるので、15分以上待つ事も多々あるわけですが、その事への事前理解が無い場合もクレームになったりと・・・。

 

ポジティブな情報共有に必要なこと

既に述べた様に、満足体験は総じて共有されにくい傾向にあると考えられます。それは、提供物が物質であろうが無形であろうが同じです。では、どうすれば良いのでしょうか。

まずは共有をしやすくするための仕組みが必要になります。その点で言えば特にソーシャルメディアの重要性は高いでしょう。そのソーシャルメディアを活用する際の大事なポイントとしては『リアルプレイス』『リアルタイム』『リアルコミュニケーション』の3つになると考えます。

そのソーシャルメディアの活用も含めた仮のケースとして、ここでは飲食店のケースとして紹介します。
1. 位置情報系やクチコミサイトの公式ページ設置(リアルタイム、リアルプレイス)
 ⇒例えば店舗であれば位置情報系に公式情報を登録したり、食べログなどのクチコミ系サイトにも公式ページ作成が可能である。
2. メニューの工夫(共有演出)
 ⇒盛り付けは勿論、季節の地場産食材を使った限定メニューなどを使う事で季節という世間との共通性を持たせる事ができる。
3. 公式のBlogとFacebookを設置(理解の醸成)
 ⇒店舗が拘りとしていること、コンセプトとしていること、新メニュー開発までの道程などをコンテンツとして提供するなど、ブランドに相応しいコンテンツを提供する。
4. twitter公式アカウントを設置(リアルコミュニケーション)
 ⇒来店客は勿論、興味を持っている人に対してもリアルタイムにコミュニケーションを取る。これまで『来店してから初めて始まる関係性』だったのを『来店前からある緩い関係性から来店する事によって強くなる関係性』にすることによって、来店時のコミュニケーションがより円滑なものになる。

これらを用いて継続的なコミュニケーションを行う事によって、良い意見の「応援票」を貰える関係性を構築する事が可能なのではないでしょうか。取り組み姿勢としては『店外でも接客をする』というスタンスで、ソーシャルメディア上に対しても空間演出をする姿勢で取り組み、店内コンテンツからWebコンテンツまで幅広く体験設計を考える事をお勧めします。

但し、顧客層がtwitterやFacebookをやっていない場合、ターゲット層とズレた対象とのコミュニケーションになることが考えられるので、その点は注意が必要です。まずは『顧客は誰か』の問いに答えられる事が必要ではありますが。

 

とはいえ、まずはクレームを出さない事

美しい体験共有の数々も、大きな不満足体験が一つあるだけで台無しになる事があります。「Web時代になってリスクが増えた」という意見も見聞きします。その意見は結果論としては正論なのかもしれませんが、本質的にリスクは『提供するサービスの問題』なのであって『Web=リスク』という捉え方は間違いであるという認識は、体験設計を考える上で最低限おさえて頂きたいポイントです。

それに、上述している不満足体験の共通傾向は、どれも未然に防ぐ事が可能であり、顧客視点に立てば見えてくるものばかりです。客を数字上の一人として考えるのか、個客として考えるのか、この違いがネガティブな体験をポジティブな体験に変えるためのキーになるのではないでしょうか。

まずは『顧客は誰か』をしっかりと考え、その顧客の視点で物事を考えられるようにする事と、中長期的なスタンスでブランドや商品を見れる様になる事が重要だと思うのです。

 

まとめ

・不満足も満足も感じる為には何かしらのベンチマークが存在する(何をもって不満足or満足なのか)
・不満足も満足も共通体験の有無が拡散されるポイントである(共通性が無ければ共感されにくい為、共通性や自分事化できるストーリーが重要になる)
・共感される背景にはどの様なストーリーがあるのかを考える事
・顧客視点を持つ事、自身も消費者であることを忘れない事
・WebとRealを区別せず、これらは連続性であることを忘れない事





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