連載2:日本企業においてCMOは必要か?
CMOの役割が不明確の今、企業内におけるマーケティング戦略の効果検証は、実際に行われていないに等しい。また、マーケティング戦術(手段)の実行部隊が縦割りの組織の中、そのマーケティング手段が売上にどのくらい貢献しているのか、という効果を計るための指標も設定されていないケースが多い。ここでは、マーケティング戦略に対するROIについて問題提起とKPIの考え方を簡単に紹介する。
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マーケティングROI(Return On Investment)という言葉を聞いたことがあると思うが、マーケティング戦略に対する最適な投資や、効果的な投資を行うため、指標を設けてマーケティングの投資効果を収益性で評価する考え方である。
マーケティングの最終目標(KGI:Key Goal Indicator 経営目標達成指標)は[b]売上増・収益増[/b]になるが、マーケティング手段(販売促進のためのプロモーションや、ブランド力をあげるための広告など)それぞれを細かく施策に落とし込んだ際、全て売上増・収益増に直結するのかと言えば、そうではない。
では、売上増・収益増に至るまでの中間指標として、マーケティング施策に対するKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)をどう設定すべきか。
KPIは定量的にモニタリングできる数字でないと、マネジメントしにくい。
本来であれば、モニタリングできないマーケティング施策は、積極的に投資すべきではないのだが、現在一般的に売上増に繋がるKPIとして、認知率、好感度、視聴率、リピート率という評価指標が使われている。
ユーザー企業に出向くと、これらの指標を使った報告をよく聞く。以下は一つの事例だが、「認知率が何%、好感度が何%上がりました。よって今回○千万の広告は効果がありました。」
・・・本当にその広告だけの効果なのだろうか。
ここで抜けている考え方は、時系列である。
人の購買心理として、電車の広告やTV広告を見たからと言って、そのまま店に直行し、すぐに商品の購入はしない。
広告を見たなど、社名や商品名を記憶されたかどうか認知率で計ることができたとしても、その認知率や好感度または視聴率が、どのタイミングで売上に貢献したのか、つまりどのくらい時間がかかって売上に繋がったのかと言ったタイムラインが必要になる。ここでは[b]売上貢献度[/b](収益との傾向)というKPIも並べてモニタリングするべきである。
また、一つの施策が時間を経て購買に繋がるとは考えにくい。
人は何度も広告を目にし、商品名を記憶し、プランドイメージを描くなど、インプットされた上で興味が沸き、購買行動に入る。
いくつもの施策が平行して実行されるため、企業側の施策のみでマーケティングROIを評価するのは危険である。(マクロ的に見れば経済や景気が関係していることもあるが)
そこで、最近考えられているのがマーケティング手段に対するKPIだけではなく、顧客のライフスタイルにおける[b]行動パターンでのKPI[/b]設定。
そして、モニタリングしやすい[b]インターネット(Webサイト)へ誘導する[/b]という手段だ。(本当は、商品のライフサイクルも考えないといけない。)
昨今、マスメディアの効果が無いと騒がれているが、モニタリングしやすいインターネットへの誘導が目につく。
・TVコマーシャルでは、「続きはWebで」or「○○と検索してね」、またはモバイルメニュー表示
・ラジオでは「詳しくはダブル・ダブル・ダブルドット・・・ジェイピー」
・雑誌ではQRコードやURLの掲載
モニタリングしやすいようWebサイトへの入り口は、通常のWebとは分けておく必要がある。また、いくつの施策が効果に繋がったか調べるために、顧客の行動パターンもモニタリングする必要がある。
Webサイトの役割に応じてモニタリングの難易度やレベル(深さ)は変わるが、顧客の行動パターンも指標として取り入れることによって、今まで途切れていたマーケティングの評価指標が、最終目標の売上貢献度まで、段階的に繋げていくことが可能になる。
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